最終勤務日を終えて

前職のこと

無事に最終勤務日を終えてから、数日が経過した。

「退職日」ではなく「最終勤務日」としているのは、正式な退職日はもう少し先になるからだ。現在は有給休暇を消化しながら、次に向けての準備を進めている。

良い具合に前職のことも忘れてきたが(気持ちの上では既に前職だ)、退職を決めてから実際に最終勤務日を迎えるまでの間、特に対人関係において緊張と不安に苛まれたので、ストレスのかからない範囲で記録しておこうと思う。

退職を決めたものの、それを言ったらどんな状況になるのか想像もつかないという人にとっては、一つの例になるだろう。

……あまり良い例ではないかもしれないが。

 

直属の上司へ報告――建前と本音

退職の意向を伝えるにあたり、まずは直属の上司2名にこっそりメールを送った。

「大事な話があるので、ちょっと別室で直接話をさせてほしい」という感じのメールだ。

別室で私は退職の意向を伝えたが、実はこのとき、本来の退職理由ではなく、別に「作って」いた理由を伝えた。

退職の理由は以下の記事で一度まとめている。仕事がつまらないこと、それと上司との人間関係だ。

退職の理由と経緯
これを書いている2018年6月現在は、ある法人の団体職員として在職中だ。 しかし既に、直属の上司には退職の意向を伝えている。 まだ諸々の話し合いや手続きが残っているが、少し気持ちが落ち着いたこの時に、退職の経緯とその理由を記して...

いざ退職に関しての面談を脳内でシミュレーションしてみると、本音の退職理由をそのまま言うのはどうにもまずいような気がした。前者に関しては、私よりも長い期間その職場に勤めている上司に対して砂をかけるような感じがしたので、退職日までの心証を悪くする気がした(直属の上司との関係はわりと良好だ)。後者については異動や配置換えを勧められる可能性があった。

なので、伝えるべき退職理由は検討に検討を重ね、絶対に慰留されず、かつ素直に通るものを考えた。

そうして作ったのが「家庭の事情」であり、両親の介護が……というやつだ。

退職理由に関して調べてみると、私と同じように建前と本音を分けたという人は多いようだ。

会社の退職理由、8割がウソ!? 女性が本音を隠す3つのテクニック / ダイヤモンド・オンラインの記者が斬る! 最近のおシゴト事情(シゴトサプリ)

理由の中でも、家庭の事情は深く突っ込まれることが少ない。プライベートに関する部分なので、職場での人間が具体的な内容を聞くことはどうにも憚られるからだ。

私の場合、両親はどちらも健在であり、しかも健康だ。介護が必要な状況でもない。その意味では両親を理由に用いることに妙な罪悪感があった。そこで少し理由をひねり、ある程度本心も含めた内容に換えて話した。

おかげで多少の慰留はあったものの、無事に報告を終える事ができた。その際、次の準備等で忙しいので有給休暇を消化することについても承認を得た。

問題は退職理由の直接の原因の一つとなった上司との面談だった。

同じように理由を話したところ、最初はきわめて残念そうな様子を見せたものの、最後には残った面々に対する迷惑がかかることについてぐちぐちと言われることになった。

なんだこのテンプレ展開は……という感じである。さらには退職日の延期について促される始末。

正直、この上司ともう一秒でも話すことが限界だったので、無心で相槌を打つことだけに苦心しつつも、退職日は絶対にずらせないこと、有給休暇に関しては絶対に取得するという意をなんとか貫き通した。

ここで折れずに有給を勝ち取ったあの時の自分を褒めてあげたい。

(有給を勝ち取るのもヘンな話だが)

部署内へ報告――最もつらい時間

残った面々に迷惑がかかる――。

上司に言われなくとも、その点はもちろん納得していた。

迷惑がかかるのは私を追い込んだお前のせいだろう……とは思ったが、それを最後まで言うことなかった。

ただ、部署内に報告したときにどのような反応が返ってくるのかについては、あまり想像したくなかった。ある意味で、上司の反応よりも恐ろしかったといえる。

おそらく、そんなケースはまれだと思う。たいてい、退職の意向を伝えるにあたり覚悟が要るのは上司に対してだろう。

しかし、退職の意向を固めるまでの数週間、過度のストレスでまともな判断はできず、仕事にずいぶん支障をきたしていた。私の仕事を他のメンバーが肩代わりしたことも少なくはない。

そうしたこともあって、部署内で「こいつ仕事できないな……」という空気を感じていた。それは単なる思い込みだったのかもしれないが。

なので、おそらく最終出勤日までの間は針の筵にすわる気分で仕事をすることになるのだろうなと、悲観していた。

一方で、精神的には限界に近く、仕事についてまともな判断ができていないという状況について、そのまま正直に話してしまおうとも思っていた。

直属の上司に加えて部署内のメンバー数名の前で、その旨を報告した。結果として、想定していたよりも肯定的にというか、ある程度快く受け入れてもらうことができたのは、僥倖だった。

最終勤務日、その当日

退職した人のブログなどを読んでいると、最終勤務日は非常に晴れ晴れとした気分だったと書いていることが多いように思う。

ただ、私の場合は上司や同僚に退職の意向を伝えるだけでも戦々恐々としていたので、挨拶回りをしなければならない最終勤務日は文字通り、最後の関門だった。

一番の関門はその原因の一つとなった上司への挨拶だけだったが、今から思えば別に行かなくてもよかったんじゃないかと思う。結局、退職の意向を伝えた時と似たようなことをもう一度言われただけであり、ムダに精神をすり減らしてしまった。一応、けじめとして筋だけは通しておこうと思っての行動だったが、本当に意味のない時間だった。

嫌な上司やパワハラの原因になった相手に挨拶へ行こうか迷っている人がいるなら、今ならはっきりと言える。嫌な相手にはわざわざ挨拶に行かなくても良い。

適応障害ではないのだろうか?

退職の意向を固めた数日の間、退職理由と合わせて調べていたのは、精神疾患だ。

仕事に関して正常な判断能力を欠如しており、なおかつ不安と緊張で食事が喉を通らない状態が続いていたので、もしかして自分は鬱病か何かではないのかと思ったのだ。

調べてみると、一つの病名が目にとまる。それは「適応障害」だった。

適応障害とはあるストレスが原因となって、まともな判断ができない状態に陥ったり、普通の生活が送れない位に不安や心配、抑うつ気分に苛まれる状態を指す。

この説明によれば、適応障害の状態はストレスの原因となる出来事が生じてだいたい一ヶ月以内に発生するとある。

適応障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省(厚生労働省)

……自己判断ではあるが、まさに当時の自分の状態そのものだ。

おそらく精神科に駆け込んでいれば、早々に適応障害の診断書が出て、それを元にもっとスムーズに退職の意向を伝えられたように思う。

いや、その場合は休職を勧められたのかもしれないが。

最悪の場合、内容証明郵便で退職届を送りつけることも考えていたが、流石にそれはしなかった。ただ、もう一日たりとも職場へ行きたくないという人にとっては有効な手段なので、悩んでいる人は選択肢に入れてみても良いと思う。

最終勤務日を終えて

その後、一度も職場には顔を出していない。

緊張や不安は日が経つにつれてウソのように薄れていった。それだけ、前の職場がもう嫌で仕方なかったのだろう。

もちろん収入面の不安はあるにはあるが、精神的な安堵は何物にも代えがたいということをこの数日で心から実感している。思い描いていたとおりの平穏な日々だ。

退職の意向を伝えてからの数日間は猛烈な不安と緊張に襲われたものだが、目先の希望としてこの平穏を手にすることだけが頼りだった。

最近では以前からの習慣だった早朝ランニングを再び始めている。

ランニングから戻ってきたら英語の勉強を進めつつ、次の仕事の準備にとりかかっている。

寝る前に読書する習慣も戻ってきた。読んでいて、要らぬ心配をすることも無くなった。

週末は以前のように、趣味のロードバイクで友人と共にロングライドすることも増えた。

何気ない日常の取り戻しと変化だが、それだけでも充実していると感じる。

あえて言おう、辞めて良かったと。

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